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コラム | 2026年7月10日

物流DXは「AI導入」より「データ収集」が先
—KDDIが公開するIoT活用事例から学ぶ現場データ活用のヒント

倉庫のデータ収集イメージ
この記事でわかること
・なぜデータ収集が「分析ツール導入」より先に必要なのか
・農業・水産業・製造業のIoT活用事例から読み取れる共通の考え方
・各業界の事例が物流倉庫にどう置き換えられるか
・庫内で「まず何を集めるか」の整理

Nexa Warehouse-Optimizerを提供する株式会社ネクサウェアは、KDDIと椿本チエインの合弁会社です。本記事では、KDDIが公開しているIoT活用事例(ソリューション提供・実証支援・パートナー協業など様々な形態を含みます)を参照しながら、物流倉庫の現場データ活用を考えるヒントをお届けします。

「Nexa Warehouse-Optimizerを使いたいが、そもそも現場データが取れていない」——そういう声があります。KPI可視化や予実管理は、分析対象となるデータが存在して初めて機能します。システムを入れても、データがなければ画面は空のままです。

物流DXの文脈でよく聞くのは「AI活用」「需要予測」「自動化」といったキーワードです。しかし実際には、AIの前に「データ収集の仕組み」があり、その前に「何を集めるかの設計」がある——この順番が逆になっている現場が少なくありません。

倉庫DXはデータ活用から——IoTとWMSをつなぐデータ連携の第一歩

これらの事例を見ると、「取得して終わり」にせず日々の業務や意思決定に活かす、という考え方が一貫して読み取れます。

その前提として、データ活用は次のステップで進みます。

センサー・機器
›
通信
›
クラウド蓄積
›
可視化
›
分析
›
AI・改善

このステップのどこかが欠けていると、後段は機能しません。農業でも水産業でも製造業でも、各事例ではまず「何をどう集めるか」の設計から始めています。業種は違いますが、この構造は物流にも共通します。

参考:KDDI株式会社「IoTの活用事例」(biz.kddi.com)

他業界の事例に学ぶ——農業・水産業・製造業のIoT活用

① 農業——「経験と勘」をセンサーデータに置き換える

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農業でのIoT活用事例

農業では、水田の水位・水温・地温を定期的に自動計測し、モバイル通信でクラウドへ送信する仕組みが実証されています。異常値はメールで通知され、スマートフォンやタブレットからいつでも確認できます。

この取り組みで重要なのは、「水田ごとの特性を理解して異常値を設定すれば、ノウハウの継承にも役立つ」という点です。ベテラン農家の経験知をデータとして記録し、次世代に引き継ぐ基盤になっています。

出典:KDDI株式会社「IoT農業活用事例——LTE-M対応水位センサー」(biz.kddi.com)

農業で取得しているデータ 物流倉庫への置き換え
水位・水温・地温 → 倉庫内温湿度・冷凍冷蔵庫温度
1時間ごとの定期計測 → 工程別の処理件数・時間帯別スループット
ベテランのノウハウをデータ化 → ベテラン作業員の配置判断・ピッキング順のデータ化
異常値アラート通知 → カットタイム超過アラート・工程遅延通知

② 水産業——「主観による判断」を客観データで検証する

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水産業でのIoT活用事例

牡蠣の養殖現場では、養殖カゴの揺れ・水温・植物プランクトン量などをIoTセンサーで記録し、それまで漁業者個人の「主観」に頼っていた判断をデータで検証できるようにする実証が進められています。現場の漁業者はこう語っています。「言ってしまえばそれは私の主観でしかありません。その時々で私の下した判断が本当に正しかったのかどうかを検証するためにも、客観的なデータが必要です」。

また、福井県の養殖場では、1時間ごとに水温・酸素濃度・塩分濃度をKDDIのモバイル回線でサーバーに送信し、タブレット端末で遠隔から確認できる体制を整備。以前は手書きで伝えていた記録が、タブレット入力によって「正確で早い」と現場に評価されるようになったといいます。

出典:KDDI株式会社「IoT活用事例——牡蠣スマート養殖プロジェクト」「IoT養殖活用事例——水温や酸素濃度を自動計測」(biz.kddi.com)

水産業で取得しているデータ 物流倉庫への置き換え
水温・酸素濃度・塩分濃度 → 作業員ごとの処理時間・工程別稼働状況
「主観」の判断をデータで検証 → 「感覚で乗り切ってきたシフト」をデータで検証
手書き記録からタブレット入力へ → 紙日報・Excel管理からWMS・ハンディ端末へ
蓄積データと生育状況の紐づけ分析 → 作業実績データとKPI達成率の紐づけ分析

③ 製造業——設備の「状態」をデータで継続監視する

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製造業でのIoT活用事例

製造現場では、設備に温度・振動・電流・流量・レベルなど多種多様なセンサーを取り付け、稼働状態を継続的に収集・蓄積します。KDDIはセキュアな通信基盤を利用することで、設備機器のデータをリアルタイムに収集する仕組みを提供しています。異常値を検知すると自動でアラートが届くため、設備停止の予兆を事前にキャッチできます。

また、液体流量計などのアナログメーターの検針値をデジタル化・クラウド化することで、転記作業の削減とヒューマンエラーの防止も実現されています。「見えなかった設備の状態」がデータになることで、経験に頼っていた保全判断が根拠を持てるようになります。

出典:KDDI株式会社「KDDI IoTクラウド Standard」(biz.kddi.com)

製造業で取得しているデータ 物流倉庫への置き換え
設備の温度・振動・電流 → コンベヤ・ソーター・AGVの稼働状態・停止ログ
アナログメーターのデジタル化 → 紙日報・作業記録のデジタル化(WMS・ハンディ端末)
異常値の自動アラート通知 → 設備停止・処理遅延の即時通知
セキュアな通信基盤経由のデータ収集 → 倉庫内Wi-Fi・LTE・IoTゲートウェイによるデータ連携

3業界に共通すること

農業・水産業・製造業、業種はまったく異なりますが、これらの事例に共通する構造があります。

① AIや高度な分析から始めていません。まず現場のデータを継続的に取得することから始まっています。

② 「主観・経験・勘」に頼っていた判断の根拠をデータに変えることが目的。自動化が目的ではなく、「判断の質を上げること」が目的です。

③ データが蓄積されて初めて、比較・分析・改善のサイクルが回る。「取得して終わり」ではなく、継続的な蓄積があることで価値が生まれます。

この考え方は物流倉庫にも当てはまります。

データはどうやってクラウドへ届くのか

「データを収集する」といっても、センサーや機器からNexa Warehouse-Optimizerまでには複数の経由点があります。下図は、倉庫現場でのデータ収集から分析活用までの典型的な流れです。

設備・センサー 温湿度・カメラ 位置・重量 PLC 設備制御 コンベヤ AGV・ソーター IoTゲートウェイ データ収集・変換 プロトコル変換 中継 通信 Wi-Fi・LTE モバイル回線 WMS・WCS・WES 作業実績・在庫・出荷データ ハンディ端末ログ クラウド データ蓄積・統合 Nexa Warehouse- Optimizer 可視化・分析 IoT・設備系データの流れ WMS・基幹システムからのデータ連携

IoT系のデータはセンサー・機器からPLCやIoTゲートウェイを経由して通信回線を通じ、クラウドへ送られます。一方、WMS・WCS・WESなどのシステムデータは別経路でクラウドへ連携されます。Nexa Warehouse-Optimizerは、これらのデータをまとめて分析・可視化する層として機能します。

物流倉庫で「まず何を集めるか」

倉庫現場で取得できるデータは、大きく「人のデータ」「設備のデータ」「環境のデータ」の3種類に分けられます。IoTというとセンサーを思い浮かべがちですが、物流では既存のWMSやハンディ端末もすでに重要なデータソースです。新たな設備投資なしに使えるデータが、現場には意外と眠っています。

種類 取得できるデータ 主な取得方法
人のデータ 作業開始・終了時刻、工程別処理件数、作業員別スループット WMS・ハンディ端末・作業実績システム
設備のデータ コンベヤ・ソーター・AGVの稼働ログ・停止時間・搬送量 WCS・PLC・IoTゲートウェイ
環境のデータ 庫内温湿度、冷凍冷蔵庫温度、電力使用量 温湿度センサー・スマートメーター

この中で、最初に着手しやすいのは「人のデータ」です。WMSやハンディ端末はすでに稼働している倉庫が多く、そこに記録されている作業開始・終了時刻と処理件数を活用するだけで、工程別スループットや作業員別生産性の分析が始められます。新たなセンサーや設備投資がなくても、今あるシステムのデータを「使える形」にすることが第一歩です。

設備データはPLCやIoTゲートウェイを介して取得できるほか、設備と連携するWCSのデータも活用できます。ただしシステム間の連携設計が必要なため、まずは人のデータから始めてスモールスタートするのが現実的です。

データがあって初めてNexa Warehouse-Optimizerが機能する

Nexa Warehouse-Optimizerは、WMS・WCS・WESなど既存システムのデータを連携し、工程別KPIの可視化・予実管理・シフトシミュレーションを行うサービスです。KDDIグループの通信・IoT分野で培われた知見も活かしながら、ネクサウェアが開発・提供しています。

農業のIoTが「水温データがあって初めて最適な餌やりができる」ように、Nexa Warehouse-Optimizerも「作業実績データがあって初めてKPIが可視化できる」という構造は同じです。

Nexa Warehouse-OptimizerはIoT機器そのものを提供するサービスではありません。既存のWMSや設備、IoT機器などから取得したデータを統合し、可視化・分析・改善につなげるための分析基盤です。

「分析ツールを導入したいが、まずデータ収集の整備から相談したい」という段階からでも、ご相談を受け付けています。

「そもそもデータが取れていない」段階からご相談ください

「何を取得すべきか分からない」「既存システムからどこまでデータを取得できるか知りたい」といった段階からご相談いただけます。Nexa Warehouse-Optimizerは、既存のWMS・WCSデータを活用した庫内分析を提供しています。データ連携の設計段階からサポートします。まずはお気軽にお問い合わせください。

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