コラム | 2026年6月25日
倉庫シフト作成の「属人化」が現場を止める
―脱却のための3つのアプローチ
物流倉庫のシフト作成は、ベテランの勘と経験で成り立っていることが多い業務です。しかしその担当者が休んだ、異動した、退職した――そのとき、現場は途端に回らなくなります。本記事では、シフト属人化が引き起こすリスクと、データを使った脱却の方法を整理します。
1. あなたの現場は大丈夫か? 属人化チェックリスト
以下の項目に複数当てはまる場合、シフト作成はすでに属人化しています。
- シフト作成を担当できる人が1〜2名しかいない
- シフト作成の根拠やロジックが文書化されていない
- 「この人がいないとシフトが組めない」という空気がある
- 物量が増えたとき、何人追加すべきか判断に時間がかかる
- 繁忙期のシフトが毎回「経験と勘」で調整されている
- シフトの出来を検証する指標がない(良いシフトか悪いシフトかわからない)
2. 属人化が引き起こす3つのリスク
急病・退職・異動のたびに現場が混乱します。引き継ぎに数週間〜数ヶ月かかるケースも珍しくありません。
ベテランが組むシフトは経験的には優れていても、出荷物量に対して人員が多すぎる・少なすぎるといったムダ・ムリが隠れています。根拠がないため、改善もできません。
EC需要の波動や季節繁忙期に、「とりあえず多めに入れておく」という対応になりがちです。人件費の過剰投入や、逆に人手不足による出荷遅延が起きやすくなります。
3. 脱属人化のための3つのアプローチ
シフト作成のロジックを「見える化」する
まず、現在のシフト担当者が「どんな情報を使って、どう判断しているか」を言語化・文書化することから始めます。「出荷予測数が◯ケースのとき、ピッキングに◯名・仕分けに◯名を配置する」という判断基準を引き出すだけで、後継者への引き継ぎが格段に楽になります。
出荷数と人員の関係を数値で把握する
シフト設計の核心は「目標出荷数を達成するために、最低何人必要か」という計算です。これは人時生産性(処理ケース数÷投入人時)の実績データがあれば算出できます。たとえば「ピッキング工程の人時生産性が50ケース/人時」とわかれば、「2,000ケースの出荷目標には理論上40人時が必要」という試算ができ、さらには過去実績や作業条件を加味して必要人員を算出します。
この計算を工程別に積み上げることで、属人的な「感覚」を数値に置き換えられます。
シミュレーションで「適正配置」を事前に検証する
計算基準ができたら、次は「このシフトで本当に出荷目標を達成できるか」を事前に検証するステップです。出荷数の予測をもとに、工程別の必要人員と適正な配置をシミュレーションすることで、当日の「やってみないとわからない」という状況をなくせます。
シミュレーション結果は、現場管理者への説明材料にもなります。「今日はこの人数でこの出荷量を達成できる根拠」が示せれば、現場への説明コストも下がります。
4. シフト適正化が現場にもたらすもの
属人化から脱却し、データに基づくシフト設計に移行した現場では、次のような変化が起きます。
- シフト作成工数の削減:試算・調整にかかる時間が短縮され、担当者の負担が軽減されます
- 過不足の減少:必要人員の精度が上がることで、人員過多・不足によるムダとリスクが減ります
- 現場の標準化:誰が担当しても同じ水準のシフトが組めるようになり、担当者依存がなくなります
- 物量変動への即応:出荷予測が変わっても、再計算して対応シフトをすぐに出せます
KDDI株式会社の物流センターでは、データ分析に基づく人員配置の見直しや工程改善を実施し、2023年度の実証実験において出荷量が従来比1.4倍となる結果を確認しました。
シフトシミュレーション機能、トライアル受付中
Nexa Warehouse-Optimizerのシフトシミュレーション機能を
実際の倉庫データでお試しいただけます。
まずはお問い合わせフォームよりご連絡ください。